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本・DVD・映画などの感想とか。 妄想したりネタバレしたりします。

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作者: 真梨幸子
文庫: 429ページ
出版社: 徳間書店 (2011/5/7)

【あらすじ】
一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして、新たな人生を歩み始めた十歳の少女。だが、彼女の人生は、いつしか狂い始めた。人生は、薔薇色のお菓子のよう…。またひとり、彼女は人を殺す。何が少女を伝説の殺人鬼・フジコにしてしまったのか?あとがきに至るまで、精緻に組み立てられた謎のタペストリ。最後の一行を、読んだとき、あなたは著者が仕掛けたたくらみに、戦慄する!


★★★★【総合】
★★★★★★【歪み度】
★★★★【運の良さ】


この本の感想を読むと、結構な割合で「嫌われ松子の一生」 が出てきた。
うん、わかる。
松子の浅はかさとフジコの浅はかさ。
こちらの方が重いけど。
松子の浅はかさは、快楽に溺れたためのツケだけど、
フジコには快楽もほとんどなかった。

上に【運の良さ】ってのをつけましたが、これはフジコの事ではありません。
おお、ネタばれしちゃうから↓↓


この【運の良さ】は育ての叔母に対するもの。
黒幕は叔母だったようだけど、これはおまけみたいなもん。
相当な運の良さじゃないと、こううまく行かないよなーくらいの感想。

これはフジコがどのように歪んで行ったかが書かれている。
幼少期のイジメがちょっと壮絶すぎた。

あまりの過去のつらさ(いじめ、虐待、一家惨殺)から
生まれ変わるチャンスがあり、二度と自分が苦しまないよう、
処世術を身につけるけど、すごく間違っている。
間違ってる故に、悪い方へとしか進まない。

フジコには「正直」「誠実」「想いやり」というものがない。
なんせ、そうされた事がないのだからその存在すらしらない。

とにかく、自分が悪くならないよう、目の前の利益を自分だけが得るよう、
それだけを考えて生きてきたら、いつの間にか殺人鬼になっていた。

フジコは誰からも大切にされなかった。

人間として扱ってもらった事がなかったから、
他人も自分と同じ人間であると言う事が理解できない。

いや違うな、
「他人も自分と同じ人間」と思ってるからこそ
簡単に殺したりバラバラにしたりできたんだな。

皆が自分を“モノ”として利用してきた。
だから、私も他の人間を“モノ”として利用する。
何がいけないの?
皆はうっぷん晴らしに、私を殴ったり辱めたりする。
それが普通でしょ?
人ってそういうもんじゃないの?
気持ち?感情?何それ美味しいの?

こんな感じなのかな。すごく悲しい。

だから、都合が悪くなると簡単に殺してしまう。
バラバラにしてしまう事にも躊躇がない。

育ててくれた叔母は優しい言葉をかけてくれるが、
最後には必ずこう言う。
「お母さんとフジコちゃんは違うのよ」
「あの事は忘れなさい」

何度も言われる事で、何度も思い出す忌まわしい過去。
思い出すたびに、過去がどんどんまとわりついて、離れなくなっていく。

それゆえ、大嫌いなお母さんと同じ道をたどる。

フジコのお母さんの末期と、フジコの末期が
全く同じような展開になったのが、「おお!」と思った。

記者について、私はフジコがやったんだろうなと思っていたが、
どうやら違ったようだ。
ここだけよくわからない。
なぜ、叔母(もしくは化粧品屋)が手を汚したのか?
うまく誘導すればフジコがやっただろうに。


さて、この本は「虐待の連鎖」とはどんな心理でそうなるのか?という一例を書いた本でもある。

愛された事がないのだから、愛する事がわからなくて当然なのだが、
それなら全く違う人の手によって断ち切る事が出来ればいいのだろうか?
最後のあとがきで、そのような事が書いてある。
フジコの娘たちの末路だ。

しかしここもわからない。
なぜ、わざわざ確認しに行くのか。確認して何になるのか。
自分が危ないとなぜ気が付かないのか。

私だったら誰にも言わずこの小説を世に発表する。
そして叔母たちとは接触しないけど。ま、いいや。


この小説の中で、フジコの気持ちをきちんと聞いてくれる人は
ほとんどいなかった。
しいて言えば、唯一の友達がいたけど、それはもうバラバラにしてしまった。
普通の人は心の中にいろいろなたくさんの感情を持ってると思うが、
フジコは数えるほどしかないのかもしれない。
喜怒哀楽と脅えと妬み、猜疑心くらい。
幼少期に全て育まれずきてしまったのだろうから。

フジコは確かに浅はかだ。
しかし、誰からも救いの手を差し伸べられなかった。
差し伸べられてたとしても、それを分かる術がなかった。
そこが松子との大きな違いだ。

グロい描写やインパクトのある部分が多いが、
この小説はとても悲しい話だと思う。

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