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作者:山田 宗樹

あらすじ:
三十年前、松子二十四歳。教職を追われ、故郷から失踪した夏。その時から最期まで転落し続けた彼女が求めたものとは?一人の女性の生涯を通して炙り出される愛と人生の光と影。



★★★【総評価】
★★★★【転落】
【賢さ】
★★【エロ】
【笑い】


ドラマも映画も見ましたが、今回は小説の話です。

もう、浅はか。とにかく浅はか。
目の前の嫌な事をごまかしてごまかしてたらこんなんなっちゃいました、みたいな話。

上のあらすじにもあるように、求めたものとは?という問いに対しての答えは「愛」でしょうな。
ただ、その求め方が問題ありなわけで。



この小説の冒頭、主人公の嫌われ松子が死んでいる所から始まります。
そして、甥がこの松子の一生に興味を持って調べる、という2部構成。

正直、この甥のパートがいらなかったな、と思う。
半分くらいまで来たら、甥のパートすっ飛ばしてたもの。
それでも、物語は全然支障なし。
そんな大学生のおちゃらけたハッピーライフには興味ないの。
彼女と進路でどうこう、とかさ。
最終的には、なんだか知らないけど、別れるし。
理由はどうであれ、そんなもんなんですよ、2人の絆ってーのは。
そんなんまで松子のせいにされちゃ、しまいには化けて出るよ。
大学生なんですからすぐ次の女が見つかるよ。
そんで、サルのように太陽が黄色く見えるまでヤればいいじゃないですか。

と、すっ飛ばしたパートはどうでもいいとして。

この嫌われ松子、最初は教師です。
そしてセクハラを受けたり、問題児をかばったりとあるわけですが、
ここで、真正面から戦う力さえあればこの後の転落人生はなかったんでしょう。

とりあえず困ったからこうしとこう、ちょっとぐらいなら大丈夫だろう、という松子の浅はかさ。
この浅はかさは、松子が死ぬまで続きます。

その後は、教師を辞め、風俗嬢になったり、薬に手を出したり、情夫を殺したり、
塀の中に入ったり、美容師になったり辞めたり、と。

そのたびにいろんな男が絡んでくるわけです。
きれいな言葉で言えば、
男の言葉を一字一句信じてすがって生きていく女。

ああ、バカ。学習能力ナシ。

それから、信念がない。

風俗嬢でもいいさ。
そこでナンバーワンになったんだし、
本気でその仕事をプロとしてやってみたらどうなんだ、と。
なんやかんや理由を付けては辞め、男がどうの、と目の前の快楽にのみ溺れていく。

何も考えず、「頑張ってるアタシ★ミャハ」を追求したらこうなるって見本でしょうかね。
図々しいんですよ、結局。
遠慮しているような言葉を並べて帰らない客のように、図々しい。
謙虚さも度を越すと押し付けになり、図々しくなるんです。

自分が招いてるとしか思えない不幸ですが、
それでもそこから引きずり出してあげようという手も差し伸べられているのです。
しかし、それに気付かないどころか、
差し伸べられた手の隣の草掴んじゃってる、みたいな。
草っていうより、犬のウンコだね。
しかも、毎度毎度間違えてウンコ掴むってどうよ。

松子の転落人生とありますが、普通の人では味わえないほどの快楽の時間もありました。
なんにせよ、松子が選んだ決断ですからね。チャラでしょう。

松子人生の終焉はとても可哀相ではありますが、それ以外は・・・
「別に」です。

沢尻エリカばりの「別に」ですよ。
不貞腐れ感丸出しですよ。
なんでカツラかぶってんだ、っていうね。
っていうか、古いネタだな、おい、っていう。

ここまで罵倒してきたように見えるかもしれませんが、
人の不幸は蜜の味ってんで、なかなか読ませる小説です。
大学生の携帯小説みたいな部分はすっ飛ばしましたが、
最後まで読ませる事は間違いありません。
これは作者の手腕ですね。

ぼろくそ書いたように見えますが、面白かったですよ。

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