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いろんな感想文

本・DVD・映画などの感想とか。 妄想したりネタバレしたりします。

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<あらすじ>
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。

【総合評価】★★★★
【なんもいえね~】★★★★


今年も6月となり、前回の記事から半年以上過ぎてしまいました。


で、この小説です。
子供が亡くなった事件について6人が自分の思いを告白していく、という形になっています。

まず読み終わってすぐの感想は。

人生って偶然が積み重なってできてるんだな、という事。
人が考えてる事って本当にわからないな、という事。

それ以外に残るものはあんまりないというか、
面白かったんだけど、
まあはっきり言ってしまうと、

「で?」

と思ってしまった。

衝撃的な事件や真相もあるのに、どうして「で?」と最後思ってしまったんだろう?

これ、松たか子で映画化されてますよね。
映画も見たいなって思うんです。
すごく引き込まれる文章で、中断されるのが嫌なくらい面白かったんです。
なのに。

いやー、今回の感想文は難しいなぁ。

↓↓↓↓



女教師の子供が殺されてこの話は始まります。

初めに、この女教師の演説なのですが、現実にあった事件をからめたりして
架空の話だけど、実際あったかのように見せてます。

だいたい同じ時間軸に関係のあった人たちがその時どう思ったのか、何をしたのかを
告白しています。

これは面白い。

Aくんは○○という行動をとる→それは△△という気持ちに基づいて。
それを見ていたAくんの母はAくんは××と思っているに違いないから→※※という行動をとる
そして、Aくんは追いつめられる。

こういった事をきちんと見せてくれるのです。

この話には、「母と子供」が3組出てきます。
それぞれがそれぞれの絆で繋がっていますが、
所詮お腹から出てしまえば、他人なんだと思います。

全く相手をわかっていない。

それでも、求める。

直くんのお母さんはいわゆるモンスターペアレンツに近く、溺愛しています。
直くんもそれに甘んじていて、重度のマザコンです。
しかし、お互いの心の内は分かっていない。
それゆえ、直くんのためにした事が裏目に出て、追い詰めていく。

この辺り、お母さんの気持ちは分からなくないんですよ。
しかし、タイミングがとても悪く、立ち上がろうとした時に叩きのめしてしまう。
別の時には、せっかく立ち上がったのに牛乳が直くんを叩きのめす。
偶然が直くんを壊していく。
直くんの心を壊した母親が直くんに壊される。

また、修哉も認められたかっただけなのに、
女教師が褒めなかった事によって、事件が起こってしまう。
女教師が褒めなかったのは、修哉がやってるHPの猟奇的な写真と他人の吹き込み。
その前に作品を見せていたら、普通に褒めていたのかもしれない。
しかし、そこも偶然が重なり、最悪の結果となってしまう。

事件もそう。
修哉の直くんに対する一言によって増長する自己顕示欲。
そのために助かるはずの命が助からなかった。

さらにもう一つの殺人。

全ては偶然。

最後、女教師はささやかな復讐を果たしたと思ったのに、
熱血教師のおかげで果たせなかったと知り、他の命まで巻き込む事となった。

ささやかな復讐で終わるはずだったのに、
修哉の大事な人は粉々になった。
そんなモノを作ったのも、仕掛けたのも(べつの場所だけど)修哉なわけで、
自分の手で意図していない大事な人を殺す結果となってこの本は終わる。

ここまで書いてやっぱり思う。

で?


なんで「で?」と思ってしまうのか。

全てを見せすぎたのではないか、と思う。
この時彼はこう思った、この時彼女はこう思った。
全部が分かってしまう事により、読み手の考える隙がない。

例えば、直くんの母親が思う事、とる行動を読み、
「本当は直くんそんな事おもってないんじゃないの?こう思ってんじゃないの?」などと考える。

その答えは何ページか後に出ている。

だから、読み手が推理した事などどうでも良くなっていくのだ。

逆にいえば、明確に答えが出ているので、ジレンマなどはない。
「結末はご自由にお考えください」的な、あのモヤモヤとしたイライラは一切ないので、
スッキリと読んでしまえる。

明朗会計ならもめたりしないけど、強く記憶に残る事もない。

それと、作者がこの話で何を伝えたいのかが全くない(ことはないだろうけど)。

小説なので、いちいち強いメッセージ性だとか問題提起だとかは望んでいないし、
それがない本もたくさんある。
そんなのは、若い歌手だけで十分暑苦しいので結構なはずなんだが、
なぜ、この話だけそれがない事に対して気になってしまうのか。

話の内容が、復讐だとか、親子愛だとか、自分勝手な気持ちだとか、
問題提起されやすい事をふんだんに扱っているからかもしれない。

復讐は悪なのか?
虐待された僕の心の矯正はどうなる?
大事にしてくれたのに殺しちゃったママはどこへ?

そういった事の答えはないし、それを考えようともしていない。

起きた事象を淡々と説明し、終わる。
全ての答え合わせをしながら。

だから、読み手は考える事をやめてしまう。
その結果、本を閉じた時に思う事は

で?

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