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本・DVD・映画などの感想とか。 妄想したりネタバレしたりします。

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また、傑作に出会ってしまった。
ごめんね、どんどん私だけ美味しい思いしちゃって。

でもこういう出会いが楽しみであるけど、ときに憤り、
苦しくなり、また屍臭を避けるように、さまようんだ。

何百、何千冊を踏み台にしても
それでも足下はふらつき、良書を求めて巡る。

人間の生き様が不安定なのか、
私の器が広すぎるのか。。。

いや、物書きのイマジンが雄大すぎるんだ。


著者は詩人の谷川俊太郎さん。
だけど本書は詩集ではない。


谷川さんに寄せられた64の質問と、
それに対する回答のまとめだ。

このまとめはハムスターにも負けない。
ただ、ハムスターはおもしろい。


質問箱は、やたら深い。
目次だけを眺めていると、正直、
よく答えるなぁと。
これにどうやって答えるんだろうと。
いろいろ興味が湧いてくるわけで。

たとえば、質問のひとつ、
「おなかがすいたら何を食べますか?」(ききさ 15歳)
「熱いお茶はどうして“こぽこぽ”と音がするの?」(つむじん 34歳)
など。

知らない。
ではすまされない。
なぜなら、しったこっちゃないことばかりだからだ。
聞いてどうする的な?


まぁどうやら見た感じ、
明確な背景や脈絡は存在しない。

しかもこれらはあまりにも唐突で、
下は4歳!から上は65歳?!までの素朴な
疑問&珍問だらけ。


○×コールセンター、お問い合わせ担当窓口、
A子さんならとっととタイムカード切ってドトールに
逃げ出したくなるような質問攻めに対して、
御年70を過ぎた日本文学界屈指の詩人が実にゆったりと、
おおらかに答えていく。


いま市場でもてはやされるのは、
ビジネスにおける有益な“気づき”や、
学校や職場ですぐに使える“愉快な雑学”。

書店で一番人気を誇る、売れ筋テーマでもある。


しかし、本書には、
そのすべての要素が含まれている。


なにより、詩人・俊太郎には、
世の中のどんな悪意も善意も健全に消化できる
「ことば」と「こころ」があるように思える。


印象に残ったのは「こやま さえ ちゃん 6歳」の質問。

   どうして、にんげんは死ぬの?
   さえちゃんは、死ぬのはいやだよ。
 (※これは、6歳の娘が実際に母親に向かってした質問。
   母親が投稿をしている)


そして、それに対する谷川さんの答え。

   ぼくがさえちゃんのお母さんだったら、
   「お母さんだって死ぬのいやだよー」
   と言いながら、さえちゃんをぎゅーっと抱きしめて
   一緒に泣きます。そのあとで一緒にお茶します。

   あのね、お母さん、言葉で問われた質問に、
   いつも言葉で答える必要はないの。
   こういう深い問いかけにはアタマだけじゃなく、
   ココロもカラダも使って答えなくちゃね。

 
この「質問箱」をあけてみたら
なんとびっくり「64編の物語」があったわけだ。


みる者と読む者が、それぞれ「感じる」ストーリー。
今日のような煮え切らない朝に、森を見るように
眺めてみよう。




『谷川俊太郎質問箱』
(東京糸井重里事務所/谷川俊太郎:著)

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